音楽好きにとっては、すっかり夏の風物詩となった大規模なロック・フェスティバル。例年ならこの季節は英国のグラストンバリーや米国のボナルーの様子が気になるところですが、今年は折角ドイツに滞在しているんですもの。ドイツのロックフェスも体験してみよう! ということで今年10周年を迎えるハリケーン・フェスティバルへ行って参りました。

 ハリケーン・フェスティバルはノイハウゼンで行われるサウスサイド・フェスティバルと同日(6/23~25)、同じラインナップで開催される、日本のサマーソニックと同じような2都市同時開催型のフェスティバルです。そういえばドイツには他にロック・イン・パークロック・アム・リングという大きな同時開催フェスもありますね。ハリケーン・フェスティバルの開催地は、ハンブルクとブレーメンの間にあるシュイーセルという町。私はベルリンからICEでハンブルクへ移動し、ハンブルクからMEでシュイーセルへ。会場へは駅から徒歩30分ほどで着きます。

 

(右)駅から会場まで他のお客さんの後をついて行けばOK。
(左)駅と会場間を走る、地元の子供が運転する荷車タクシー。2人がかりでも重そうでした。


【どんな会場で開催されるの?】
 会場はフジロックのグリーンステージとホワイトステージを横に繋げたくらいの土地に、大きなステージ2つと屋根付きのステージ1つ、屋台や企業ブースが配置されています。日本のフェスティバルと比べると、朝霧ジャムより大きく、ライジング・サンより小さいくらいでしょうか。全て同じ敷地内にありますので、ステージ間の移動はとても楽です。トイレの数も充分で、シャワーもあります。シャワーは仕切りがないので、水着を用意したほうがいいです。会場内は晴れていると土埃が舞い、身体やテントがかなり黒くなります。鼻をかむと、未だかつて見たことがない、恐ろしい色の鼻水が。少しでも雨が降ってくれれば快適に過ごせるはずなんですけどね。

 

(右)張ったばかりのテント。まだ綺麗です。
(左)それが、たった1日で土埃に染まってしまいました。トホホ。

【出演バンドは?】
 今年のヘッドライナーは1日目が Manu Chao Radio Bemba Sound System、2日目がThe Strokes、3日目がMuse。他にも日本でも人気があるバンドが沢山出ました。でも、折角の機会なので、ドイツのバンドも少し観てみましたよ。Voltaireは美メロ系ギターバンド。Fettes Brotはヒップホップでしょうか。パーティーバンドっぽい感じ? ロンドン・コーリングやマカレナやレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの曲のカヴァーを挟んでお客さんを盛り上げてました。Everlaunchはエモっぽいロック、She-Male Troubleはアニメ声の女の子ボーカルで、ハードなパンクロックという印象でした。ちなみに、右上の写真のスクリーンに映っているのは、一番大きいステージの一番手で出演したジプシー・パンクのGogol Bordello。このバンドを最初に持ってきてお客さんをガッツリ盛り上げるあたり、ニクい! 私のお目当てのマヌ・チャオとベン・ハーパーのステージも素晴らしかったですし、大満足です。

【食事は?】
 焼きソーセージやクレープなど、ワールドカップのファンフェストやクリスマスマーケットに出ているような屋台でご飯が買えます。お腹が空いていて買ったのに、あまりの味に残さざるを得ない(実話)イギリスのフェスの屋台に比べたら、ずっとおいしいです。でも、ちょっと割高かな。焼きそばを買ったら普段2、3ユーロで食べられるようなものが5ユーロでした。そのせいか、スーパーで買った食材を持ち込んでいるお客さんが多かったです。キャンプサイトではバーベキューも可能で、みなさんコンロを持ち込んでお肉をモリモリ焼いていました。

  


 ステージのある会場内は、缶・ボトルの持ち込みが不可。そのため、紙パック飲料を携帯しているお客さんが多かったです。紙パックの飲み物だから、必然的に中身がミルクやアイスティーやオレンジジュースになっちゃうところが、何だかカワイイ。気になったのはガムテープでグルグル巻きにした紙パックを水筒のように肩から下げている人が多いこと。もしかして、これはドイツのフェスのお客さんの伝統芸? グッドアイデア、というべきか豪快というべきか…。

【ゴミ対策】
 入場のときに、チップと大きなゴミ袋がひとり1枚貰えます。実はチケット代にはゴミ処理代が含まれていて、帰るときに自分が出したゴミを入れたゴミ袋を持って行き、チップを返すと、5ユーロが戻ってくるというシステム。流石ドイツ。でも、ステージのある会場内のゴミ箱の数が少ないように感じました。だから、地面にゴミがちらかり放題…なのはどこの海外フェスティバルでも一緒でしょうか?

【勿論、ロックフェスでもパブリックビューイング!】


(上)1時間前なのに、これ以上スクリーンに近づけません。

 さて、2日目にあたる24日は、ミュンヘンでワールドカップのドイツ×スウェーデン戦が行われていました。フェスティバル会場にいたって、試合の行方は気になるもの。キャンプサイトの一角にはパブリックビューイングの広場が設けられ、当日はお客さんにもユニフォーム姿の人が目立ちました。私も試合を観るつもりでスクリーンのある広場へ向かうと、まだキックオフまで1時間あるというのに、広場だけでなく通路まで人が溢れかえり、スクリーンは遥か向こうに…。

 結局、今年のハリケーン・フェスティバルでの一番の人気アクトはドイツ×スウェーデン戦だった! と言えるのかも。私は背の高い人の肩越しにスクリーンを覗いて試合を見守りましたが、ゴールが決まれば喜ぶお客さんでモッシュの嵐、空からビールは降ってくるわ、ドイツ国旗は顔にかぶさってくるわ、土埃はさらに舞うわで、かなりタフな状況での応援になってしまいました。試合前半でドイツの勝利を確信した私は、フェスティバルも試合も半ばながら、ハーフタイム中にテントをたたんで帰りました。実は20日のエクアドル×ドイツ戦を観に行ったら、強い日差しで体力を削られた上に、帰りの混雑したSバーンにとどめを刺され、体調が芳しくなくフェスに来られるかも危うかったのです。無理をしないことも野外フェスティバルを楽しむコツ、ですからね。その後、乗り換えのために寄ったハンブルク中央駅でご機嫌のドイツサポーターを沢山見かけ、「おお、ドイツが勝ったんだね!」と試合結果を知った次第です。

 ハリケーン・フェスティバルは雨対策・防寒対策・紫外線対策さえ万全なら、ハンブルクまたはブレーメンから鉄道1本で、軽装で気軽にキャンプが楽しめるフェスだと思います。海外フェスとしての難易度は低い方ですので、来年以降行こうかなと思っている方は、是非紙パック飲料とガムテープ持参で楽しんできて下さいね!